2015年1月26日月曜日

やれやれ。

今年度からパーマネント採用されたこともあり、道内の河川生態系保全を目的に活動する団体からお誘いを受け、活動しています。で、頂いたお題が「ニジマス・ブラウントラウトに関する市民シンポを開催すること」。研究者とはいえ一人の人間、データでは表現できない色々な感情、感覚それらに基づいて形成された考えがあり、その考えを伝えるよい機会だと思い、お受けしました。変な話、データでしかものを言えない研究者ではダメだと思います。研究とは直接関係のない部分で接する色々な人の想いや考えにも敏感になり、それらを自分の考えの中に取り入れていくことは大事だと思います。

シンポのコンセプトは、自分のHPのトップページにある文章の通りです。いかに、(いわゆる)擁護派と駆除派が歩み寄り、そして互いの言い分の折衷案を見出すか、です。後者については理想であり、前者が達成できるだけでも万々歳です。ただ、その企画はたいへんでした。

よくニジマス・ブラウン釣りの愛好家に対して「釣り人のエゴで川に好き放題釣り用の外来魚を放していいのか!?」という批判が寄せられます。単純に言ってしまえば「エゴはダメ」という考えです。でも、「エゴはダメ」というよりかは「そのエゴをどうするか」という議論が必要に思います。人間誰しも、好き・嫌いという単純な感情に基づいた「(自分の都合だけで)あれをああしたい、これをこうしたい」というエゴな面を持っています。物事の方針を決めていくうえで、実は、その一面こそが意見の根本にあるものであり、互いに尊重し合わなければ、相反する考えの人が歩み寄ることは不可能なのではないでしょうか?エゴというものは批判されるものでもなんでもなくって、あって当然のもの、とも思います。そして、そのエゴはまちまちだからこそ、話し合ってルールを決めることが大事なのでしょう。

少し話はそれますが、学部時代に動物生態学の授業でクジラ漁についてのディベートをしたことがありました。その中で、クジラ漁反対派から「クジラはかわいいから殺してはダメだ」という意見が出ました。教室全体になんて安易な意見なんだ、という雰囲気が漂ったのですが、助教授の先生はクジラ漁反対を訴える中で説得力ある意見として高く評価しました。「かわいい」等の感情は人間が意思決定するうえで、もっとも重要な要素の一つであり、それをないがしろにして事を進めることこそが安易なのだ、と諭すように学生たちに語りかけられました。

「お前は無表情で何を考えているのかよくわからん」、と周りの人から言われることが多いのですが、研究活動の上でも人の感情を大切にできる人になりたいと思います。
シンポ自体は、、、、参加された人からの反応を待ちたいですね。