2022年10月10日月曜日

論文紹介

 サクラマスに関する論文が2編、公開されました。

Hasegawa, K. & Fukui, S. 2022. Pulsed supplies of small fish facilitate time-limited intraguild predation in salmon-stocked streams. Royal Society Open Science. 9: 220127.

https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rsos.220127

サクラマスを放流している尻別川水系目名川での成果です。春に放流されたサクラマス稚魚とイワナの種間関係を調べました。イワナが稚魚をガンガン食って、ガンガン成長するのかと思いきや、食っていたのは放流翌日だけというのが意外でした。この年になってようやく、競争と食うー食われるの関係を一つの研究の中で扱えるようになったかと(苦笑)。

Nakae, M., Hasegawa, K. & Miyamoto, K. 2022. Domestication of captive-bred masu salmon Oncorhynchus masou masou (Salmonidae) leads to a significant decrease in numbers of lateral line organs. Scientific Reports. 12: 16780.

 https://www.nature.com/articles/s41598-022-21195-3

感丘研究の主要成果です。継代飼育すると感丘の数(側線の点々)が減る、ということを示しました。共著者と何年もかかってまとめた研究なので感慨深いものがあります。データを取るためにたくさん魚を観察して(自分は主に記帳係)、議論のためにたくさんビールも呑みました。でも、この研究が面白くなるのはここから。感丘が減ると魚の反応、行動はどうなるんでしょう?そのあたりの話はまたおいおい。

いずれもオープンアクセスです。よろしければご笑覧下さい。