2023年12月16日土曜日

年末

 毎年恒例の魚類系統研究会が終わり、年末に予定されていた会議、大掃除も済んだので、来週も出勤しますが、一気に冬休みモードです。

今年は何より、"善意の放流”改善に向けて取り組めた1年でした。色々な人と話をして、あぁ、放流をしたい人はこんな風に考えているんだな、前回の説明の仕方だと溝が深まっただけの感じがしたので、今回は説明の仕方を変えてみよう、心情面での訴え方を変えてみよう、と試行錯誤が続きましたが、最後はいい方向で終わったように思います。どんな生物資源であれ、それらは単なる資源ではなく、地域の文化を支える存在なんだと言うことを強調するのは有効みたいです。

サクラマスやヤマベで言えば、ショアからの海サクラ、新仔釣りは北海道ならではの釣り文化なんですが、それを台無しにしてまで外来種や系群不明のヤマベを撒きますか?という問いに対する答えはそう難しくないような気がします。

 

2023年11月12日日曜日

そういうことじゃないんだよ

 タイガース38年ぶりの日本一で、周囲の何人かから、お祝いの言葉を頂きましたが、自分は何もしてません。クライマックスシリーズ、日本シリーズの間は、毎日定時退庁していただけです(5時前に帰宅することもあったか・・・)。プロ野球を覚えたのが、まさにその38年前だったので、感慨深いものがありますねぇ。なぜ真弓のヒッティングマーチがディズニーランドで流れているんだ??と、当時は本気でそう思っていました。


先日、0次会で入った居酒屋に貼ってあったSUNTORYのポスター。出たくない飲み会には出なくていいし、酒席で無理に飲めない酒を飲む必要もないのですが、だからこそこのポスターの発するメッセージは深いと思いました。

さあ、これから忘年会シーズンだ!

2023年10月28日土曜日

初雪?

 

今年の夏は、異常なほどの猛暑で、自分のモニタリング河川もデータロガーが壊れたか?と思うほどの高水温でした。

それでも、冬は着実にやってくるもの。札幌でも初雪が降りました、と思いきや、白く映っているのは全部、雪虫です。猛暑の影響は、ここにも現れていて、彼らは夏の気温が高いほど、大量発生しやすいそうな。。。

昼休みは、気分転換に外に散歩に出るのが日課なのですが、この日はさすがに躊躇しました。道行く人も晴れているのに傘をさしたり、フードを被ったりと雪虫対策に必死です。

魚の胃内容物はきっと雪虫だらけなんだろうな。

                拡大するとこんな感じ。
 

2023年9月4日月曜日

初!長崎

 魚類学会で長崎に行ってきました。久しぶりの九州、初めての長崎です。


 前日入りしたその日の晩は、皿うどん。どの店にしようか迷ったのですが、2~3人の待ちが出ていた店を見つけ、ここなら間違いなさそうと入ってみました。パリパリの麺と餡かけの相性が抜群ですね。すごくお腹が空いていたので、大盛りにしたのですが、この後、急遽知人と飲みに行くことになったのでこれは失敗。翌日の午前は胃もたれをしていました。

会場までは市電が便利。5分間隔くらいで運行しているのでほとんど待つことなく乗れます。今回の発表は、4月号の魚雑に掲載した会員通信の宣伝だったのですが、ポスターを貼るまでもなく、何人かの方に「見たよー」と声を掛けて頂きました。

少しは観光を、と思い空き時間に散歩してみました。ほんとは「軍艦島」に行きたかったのですが、船の運行時間と空き時間のタイミングが合わず、断念しました。

 川を覗いてみると、コイとチヌ(たぶん)が一緒に泳いでいました。

あと、15~20cmくらいの魚の大群がスクールしていました。こういうことをするのはたいていボラでしょうか?

お世辞にもきれいとは言えない川ですが、魚は多いようです。

あまり上手く撮れませんでしたが、海岸線まで田んぼになっているのが印象的でした。こういう光景ってあまり見ないと思います。ちなみに、行きも帰りも伊丹経由。伊丹~長崎はプロペラ機でした。


2023年8月27日日曜日

誤訳

 最近、急速に普及したdeepL。たしかに、辞書とは違い、和文英訳・英文和訳をかなり高精度でやってくれます。自分の英文e-mailの文面なんかも、それっぽく訳してくれて、妙に英語が上達した気分にさせてくれるのですが、生物の種名を訳すのはまだまだ苦手みたい。

先日もオオセグロカモメを意味するslaty-backed gullをナメクジカモメと訳してくれました。ドラクエの雑魚キャラで出てきそう。。。

2023年7月29日土曜日

感動を悲劇に変えないために

 出張のための長距離ドライブで立ち寄った黒松内の道の駅に「(野生動物に出会った)感動を悲劇に変えないために」という標語のポスターがありました。イラストは大きなヒグマです。

待ち合わせの時間が迫っていて急いでいたので、じっくりは見なかったのですが、それでも鮮烈な印象が残りました。

自然が好きな人だと、普段街中では見掛けない動物に出会うと、多かれ少なかれ感動を覚えると思います。でもそこで、「かわいかったから」とか、「これ、食べるかな?」という興味本位で餌を与えてしまうと、その積み重ねが動物や人間にとって悲劇を招きかねないことはよく分かっているけれど、よく知られているとはまだまだ言えないよな。

そんなことを思いました。

2023年6月7日水曜日

国際イワナ学会@日光市

 日光市で開催された国際イワナ学会に参加しました。自分はイワナ専門というわけではないのですが、縁あって立ち上げ時から実行委員会のメンバーとして準備に携わらせて頂きました。立ち上げが2015年、コロナのため2度の延期を経てやっと今年開催。長い長い準備期間でした。

国際学会といえど日本開催と言うことで、100人弱の参加者のうち、半分は日本人≒顔見知りです。昨年の魚類学会はオンサイトだったけれど、そんな顔見知りの彼らでもまだまだ久しぶりに会う面子が大勢いました。国際学会なので、本来は海外の研究者との交流を図るべきなのでしょうけれど、久しぶりの面々と真面目な話やバカ話ができたことが楽しかったです。

で、日光市と言えば、2007年度から2年間、暮らした土地。どうしても行きたい店があったのですが、タイミングを見つけられずにいると、打ち上げの店の予約というお鉢が回ってきました。ならば、ということでその店に夜遅くに電話。「あら、北海道の長谷川さ~ん!どうしたの??」と覚えていて下さったことが本当に嬉しかったです。このブログを見返したら、前回の訪問は2017年の3月でした。

名物「電気ブラン」を頂く。前はこんなビールのチェイサーなんてなかったはず。

みんなとの打ち上げを楽しみ、店主夫妻とも再会でき、贅沢な時間を過ごせました。

2023年5月15日月曜日

【論文(?)紹介】北風と太陽?

論文ではないのですが、自分の中で重要度の高い記事が公開されました。

長谷川功・二本柳健司・渡辺恵三・中村慎吾・佐橋玄記・飴谷尚人.2023.【会員通信】放流に替わる環境教育手段の模索~市民団体「山の手ヤマベ里親の会」と地元有識者らの取り組み~.魚類学雑誌,70: 140-143.

いわゆる「善意の放流」を行っていた市民団体が、自分も含めた地元有識者からのはたらきかけによって、環境教育手段を放流から観察会に切り替えた経緯をレポートしました。

だいたいこの手の話は、研究者側が無理矢理放流を止めさせようとしてけんか別れに終わることが多いように思います。そうではない例もあるのかもしれませんが、そのことがほとんど報告されないために、「けんか別れに終わることが多い」という主観を、自分は抱いてしまっているのだと思います。あるいは、研究者側の「上から目線」だったり、高圧的な振る舞いが原因であることも否めないのではないでしょうか?残念ながら、そう思わざるを得ないケースを自分は知っています。

そこで、本件に関わるにあたって、まずは相手の話を聞いて友好的な関係を築くことを心がけました。でもそれは、基本的には皆、魚好き、川好きでしたので、難しいことではありませんでしたよ。それでも環境教育手段の切り替えには時間がかかりましたが、お互いに築き上げた友好的な関係こそが 今回の成功の秘訣だったと思っています。著者一同は、市民団体側と有識者側の主要メンバーです。この貴重な成功例を魚類学雑誌に投稿してちゃんと形に残そうと提案したのは自分でしたが、全員が快く認めてくださいました。

童話「北風と太陽」を思い出しました。

 

 


2023年4月27日木曜日

論文紹介

Hasegawa, K., Nakae, M. & Miyamoto, K.  2023. Effects of domestication and captive breeding on reaction to moving objects: Implications for avoidance behaviors of masu salmon Oncorhynchus masou. Royal Society Open Science. 10: 230045.

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.230045

新しい論文が出ました。仰々しいタイトルですが、通称「ドボン実験」。ドボン!と物を沈めたときの魚の回避行動を観察していたからです。行動観察は久しぶりでした。

当初は、感丘数と回避行動の関係を調べる目的で、継代飼育魚を使って、視覚の効かない暗条件下で観察をしていました。でも、回避行動は失敗したり、成功したりするものの、どうも感丘数との関係は見られそうにない。。。じゃあ、明るくしてドボン実験をしたらどうなるんだろう???と試してみたら、なんとほとんどの場合で回避成功しました。

明暗条件によって、こんなに劇的に魚の行動が変わるんだ!と気付いてからはどんどんデータ取りが進みました。由来(継代飼育、F1、野生)によっても回避能力が大きく違ったことは驚きでした。結局、感丘数と回避行動の成否の関係は分からなかったんですけどね。次の課題かな。

オープンアクセスです。よろしければご覧下さい。

2023年3月4日土曜日

論文紹介

Honda, K., Hasegawa, K., Ono, I. & Miyashita, K. online first.
Piscivorous brown trout Salmo trutta does not migrate from distant downstream habitats to a massive release site for chum salmon Oncorhynchus keta fry in the Chitose River, northern Japan. Environmental Biology of Fishes 

サケ稚魚の放流シーズンになると、ブラウンが孵化場へ稚魚を食べに集まってくる、という仮説というか都市伝説(?)を検証するために、千歳川のブラウンに発信器を装着し、移動の様子を追跡するという調査を行いました。

その結果、都市伝説はガセ!ということが明らかになりました(笑)。

でも、副次的にブラウンの季節移動のデータや食性データなんかが得られたし、千歳川本流でブラウンが利用するマイクロハビタットについてもよく観察ができたし、収獲の多い調査だったと思っています。


2023年2月24日金曜日

海の魚の食べ物

川にいる魚は、川の中の餌を食う。

海にいる魚は、海の中の餌を食う。

でも、ノルウェーのホッキョクイワナは、海へ行っても川由来の餌に依存している。”川由来の”というと川面に落ちた陸生昆虫も含むのか?だったら、それらが流されて海で食われる、ということはあるだろう。でも、食われているのは川にいる底生生物らしい。そりゃ、底生生物だって流されれば海で食われるだろう。実際に、漁港の中の小さな流れ込みなんかでは、流れの中で定位するチビアメ達を見掛けるし、彼らはきっと川由来の餌も食べているんだろう。

でも、なんで、わざわざ海まで行って、川由来の餌に依存するんだ?

著者らの関心はそこではなかったようで、詳しくは議論されていなかったけれど、興味深い論文でした↓。

Davidsen et al. early view. Brown trout (Salmo trutta L. 1758) and Arctic charr (Salvelinus alpinus (L. 1758)) display different marine behaviour and feeding strategies in sympatry. Journal of Fish Biology

2023年1月26日木曜日

フルフル詐欺

 今週の大寒波、日本中に大混乱を巻き起こしました。実家最寄りのJRの駅がyahooニュースなんかに出てきたりして、おぉ!と思っていたのですが、大雪で動けなくなった電車に閉じ込められていた人はさぞかしたいへんだったでしょう。お見舞い申し上げます。

でも、札幌は、寒いだけでちっとも雪が降りません。天気予報では、40cmの積雪!なんて騒ぐんですけれど、これじゃまるで「降る降る詐欺」です。 一晩で10cm以上積もると除雪車が出動して、雪かきをさぼってできた駐車場の凸凹もきれいさっぱり平らにならしていってくれるんだけどなあ。