2015年12月23日水曜日

グーグル翻訳

先週、ロシアからの客人をあちこち案内するというミッションを仰せつかったのですが、一番の不安は言葉でした。こういう時は、英語でコミュニケーションというのが暗黙の了解なのでしょうけれど、ロシア人というのは、日本人ですらビックリするほど英語ができません。いつもは、nativeでなくとも相手の英語力の方が高いので、それに甘えて、自分は拙い英語で許してもらうのですが、今回はそうもいきません。まあ、考えてみれば「英語ができる外国人」の方が世の中少ないんでしょうけど・・・。ヨーロッパでもスペインやハンガリーは英語が通じないことの方が多かったし(太平洋の小国パラオの方が断然英語は通じた(笑))、「外国≒アメリカ=英語ペラペラ」という先入観は、日本の英語教育の賜物なのかもしれません。

と、文句を言っていても仕方ないし、なんとかコミュニケーションをしなければいけません。そこで、大活躍してくれたのが「グーグル翻訳」でした。スマホでちょちょいと日本語入力するとあっと言う間にロシア語に直してくれます。実際にしゃべってくれたりもします。あまりこれに頼りすぎると無機質な雰囲気になりかねないし、やっぱり、一言二言でもいいから相手の言語を口にしたり、「これ、あなたの国ではなんというの??」といったやりとりは場を和ませます。でも、会話が行き詰ったときや次の日の予定など確実な情報伝達が必要なときには強力なツールでした。

ただ、今回の場合は、双方共に相手側の母語を理解していなかったので、正確な翻訳ができているかは知る由もありませんでした(苦笑)。

2015年11月22日日曜日

魚類系統研究会@網走

毎年、年末恒例の魚類系統研究会に参加するため、網走の東京農大オホーツクキャンパスに行ってきました。

地方空港に降り立つことに妙な達成感を覚える自分にとって、「女満別空港」はなんとも魅力的です。しかも、人生初の道内便!


十勝川の本支流の様子がよくわかりました。


いいですね~。このローカル感。


ボンバルディア機に歩いて乗り込むこの感じ、いいですね~。外国の田舎路線ではたまに経験するんですが、自分は日本ではあまり経験したことありません。


帰りは金山湖が雲の狭間からきれいに見えたんですが、写真はいまいち・・・。

肝心の研究会ですが、今年も皆さんと色々、玉石混交な情報を交換しあったり、充実した時間を過ごせました。

来年もまた楽しみです。

2015年10月28日水曜日

駆除二年目

昨年からブラウントラウトの駆除を始めた川に行ってきました(駆除に対する私見は7月17日のブログの通り)。昨年のほぼ同時期に駆除をしたので、ちょうど一年後どうなったか??というのはとても気になるところです。

昨年よりもハイペースに川を進めたことからも分かる通り、ブラウントラウトは3分の1ほどに減っていました。一方、在来種のアメマスはほぼ昨年と同数でした。この後、どうなっていくか、じっくり観察していきたいと思います。

北海道はもう雪が降りました。山奥は、水たまりも凍ってます。紅葉もほとんど終わり、冬まっしぐらですね。


2015年9月6日日曜日

日本魚類学会

アメリカ水産学会に引き続き、今度は奈良市の近畿大学で開かれた日本魚類学会に参加してきました。伊丹空港で、前の航空機が鳥とぶつかり、自分が乗っていた飛行機は着陸直前で高度をまた上げる、というハプニングがありました。


前夜祭(打合せ??)として、前の晩から3時間ほど盛り上がっていました。自分の発表は初日の午前9時45分からだったので、早く済んで気は楽なのですが、若干酒気帯びだったかもしれません。まあ、緊張をほぐすにはちょうどいいくらいだったということにしておきましょう。

夜の懇親会は近大マグロが出ました(三重の時に次いで二回目?)!昨年、船盛を食いそびれるという大失態をしてしまったので、今回は前列に陣取り、みんなの分を確保することができました。おいしかったです。野生魚、天然魚の漁獲が物議を醸すような種については、養殖の道を探る、というのはいいかもしれませんね。


いろんな人と話もできたし、有意義な時間を過ごせました。

2015年8月30日日曜日

マラソン

論文書きはマラソンです。100m走のようにあっという間に終わることはなく、データ取りから始まり、レフリーとのやり取りそして受理まで、長い長い道のりです。

そんなわけで、リバイス中の論文を直そうと休日出勤しました。世界陸上の女子マラソンがテレビで始まったのですが、それをじっくり見てしまうといけないと思い、そそくさと出掛けました。が!札幌も北海道マラソンの真っ最中で、研究所をがっちり囲うようにコース取りされ、研究所への道はどこも通行止め。車なら10分で行けるのに、しかたないのでそこいらで時間を潰して(家に戻るのも腹立たしい)、結局1時間近くかかってしまいました。

こういった地域で行われる一大イベントに対して、住民としてある程度の理解、協力を示すのが大人の対応というものでしょう。もとい、高校時代は陸上部で1500mを専門とした自分としては、今日を楽しみに一生懸命練習した市民ランナーの気持ちも分かります。

でも、不便を強いられた者としては、北海道の名を冠したマラソンならば何も札幌でやらんでも、道内にはもっと道がすいた場所はいくらでもあるじゃないか!というのが本音ですね(苦笑)。

ひどい目に遭いました。

2015年8月24日月曜日

第145回アメリカ水産学会に参加して

昨年に引き続き、オレゴンへ行ってきました。今回の目的は、ポートランドで開催された第145回アメリカ水産学会へ参加することです。



同じ水産学会でも、日本のものとはずいぶん雰囲気が違いました。まず、参加者が4000人を超えるマンモス学会だということがあります(日本の水産学会もたいがいでかいのですが)。参加者が多いと発表内容も自ずと多様になるのでしょうけれど、基礎生態に重点を置いた研究発表も日本の学会と比べて多いなあという印象でした。生態学に限らず、生理学とか他ジャンルもおそらく同様なのではないでしょうか。

自分の発表は、野生魚と放流魚の相互作用に関するシンポジウムで行われました。これまで進めてきた同テーマに関する自身の研究を体系立てて整理するよい機会になりました。今回のシンポジウムに誘ってくれたオーガナイザーの方にお礼申し上げたいと思います。

今回の学会、自身の研究発表や他の発表の聴講の他に、アメリカに住む知人と旧交を温めることも目的でした。ただ晩に飲みに行っただけだろう(ポートランドの地ビールはとてもおいしい)?と思われるかもしれませんが、これも学会参加では重要なことですね。

2度目のポートランドだったので、公共交通機関(Trimet)をうまく使って街を回り、食事等を楽しむことができました。



観光地巡りもいいのですが、地元のスーパーを見て歩くのが好きです。国内外を問わず、その地域の食文化が垣間見えて楽しいです。

 
オレゴンはピノノワールの名産地でこのスーパーにもずらりと並んでいました。



MSC認証された魚たちとアトランティックサーモン、ティラピアが並んでいる光景が妙に印象的だったのは自分だけでしょうか・・・。

2015年7月17日金曜日

駆除の効果

外来種だからといって、何でもかんでも「駆除、駆除!」というのは好みませんが、駆除は外来種問題の解決策としてひじょうに有効な手段であり、その実施方法や効果について知見を収集しておくことは重要でしょう。

そういった考えのもと、昨年からブラウントラウトの駆除を始めたところがあります。ブラウントラウトの人気釣り場でこんなことをすると釣り人との軋轢が生じますが、この川は釣りには向かないほどの小河川で、そもそも入林許可がないとアプローチできない場所なので釣り場として利用することはできず、駆除を実施するのによい調査地だと考えました。

昨秋、駆除を実施し、今月再度駆除を実施したら、ブラウントラウトの捕獲数は半減、アメマス(もちろん駆除しない)の捕獲数は横ばいでした。ブラウントラウトの減少とともにアメマスが増える様子を追っていけたらなあと思っています。


途中、こんな小さな滝(?)があるのですが、その上流からブラウントラウトがガクッと少なくなります。「侵略的外来種」なんて呼ばれているから、あっという間に川の隅々まではびこりそうなものですが、意外とものぐさ?出不精?でちょっとした段差でも超えるのを面倒くさがるんですかね??

2015年6月3日水曜日

研究業績

ファーストではないのですが、日光にいたときの論文が受理されました。渓流漁場管理に関する内容なんだけど、これらはこれまでホームページ上の研究業績欄では「その他」に振り分けていました。すると、なんか渓流漁場管理に関する研究がどれも「その他」になってしまって、それはなんかさみしいなあ、と思ったので、ならばいっそと思い、「渓流漁場管理」というカテゴリーを作ってみました。本州の外来魚研究なんかはここに入るんだろうし、これはこれでいいかも。

2015年5月30日土曜日

セミナー発表

昨日は所内のセミナー発表の日でした。サケの放流がベントスや同所的にいるサクラマス稚魚にどういった影響があるか?ということを調べた内容で、まとめ方の方向性が見いだせず、目を背けた期間も含めて3年がかりでようやくここまでやってきました。とはいえ、サンプル処理は業者任せ・・・。

仕込んだ小ネタは狙い通り笑いがとれたものの、全体的な反応はもう一つだったかな(プレゼンが終わったときの雰囲気で何となく分かる)。ただ、これまではベントス屋さんとの議論&助言で進めてきたんですが、それとはまた違った視点、というか、所内の人はこういった方向性の議論を求めている、というのが分かった点はよかったです。

昨日は札幌も27度でした。セミナー後、水も飲まずに家へ帰って風呂上りに飲んだビールは最高でした!

昨日ではありませんが、最近撮った写真です。幌平橋から豊平川上流を見た風景ですが、この時期の札幌はきれいで気候も穏やかでいいですね。

2015年4月22日水曜日

WeとI

昨年度は、他の仕事との兼ね合いもあり、論文執筆が滞った一年でした。「この仕事はあの仕事よりも大事」とか天秤にかけるようなことはしたくありませんが(現実はそうもいかない)、やはり論文執筆にはウェイトを置きたいと思います。

そんなこんなで今、単著論文を書いているんですが、ついついWe...と書いてしまいます。というか、書いてしまっています。I...と直すのが結構面倒くさい(苦笑)。こんなだから、aとtheの区別なんて知るよしもなし。現在形、過去形、なんちゃら完了形って何なんでしょうね。実は自分はSVOとかSVOCとかSVOOと言われてもピンときません。要は「文法」というものが大嫌いなのです。でも、「文法」を無視するわけにもいかないので、書きたいことを書けずに筆(キーボード?)が止まることがしょっちゅうです。

「それは日本の歪んだ英語教育が云々」といった声が聞こえてきそうですが、では日本人の自分は日本語を自在に操れているでしょうか?他人の評価はともかく、自分自身では「否」と思うようにしています。だから、日本語の文章を書くときでも辞書をパソコンの横に置いてマメに引くようにしています。自分では正しいと思ってその語を使うのですが、ちゃんと辞書を引いてみると微妙に意味が違ったりすることがけっこうあります。では、読み手はその語の正しい意味を知っているか?というと堂々巡りになり、きりはありませんが・・・。ちなみに、話し言葉については、関西弁ベースに北海道弁が混じった自分のそれは標準語から遠くかけ離れたものだということは何となく分かっております。

論文を書くとき、どうしても数値に一喜一憂してしまいがちですが(特に、0.05という値との大小関係に)、一つ一つの言葉を大切にしなければ、と思います。

2015年3月31日火曜日

水産学会

生態学会から4日間のインターバルで、東京海洋大学で開催された水産学会に行ってきました。鹿児島へ上着を持って行って大失敗したので、今回は上着なし。身軽だし、これでちょうどいいくらい。

今回はブラウントラウトとサケのネタでそれぞれ口頭発表、そして座長も仰せつかっていたのですが、全部初日に組み込まれていました。発表は特に問題もなく終了。10分という短時間でのプレゼンの作り方にだいぶん慣れてきた気がします。

聴講は特に、受賞講演が印象的でした。テーマのインパクト、ご自身の研究歴をベースにした論理展開、そして誰にでも分かるプレゼンの作り方、聞き手を引き付ける話し方、どれも素晴らしいなあ、と思いました。

と、勉強になる講演もたくさんあり充実した時間を過ごせたのですが、生態学会、水産学会と大規模な学会に続けてほぼ全日程参加して、さすがに疲れました。

東京は桜がきれいに咲き始めていましたが、リフレッシュにこちらもサクラを咲かせに行きたいなあ。
 
 

2015年3月22日日曜日

海外旅行気分

生態学会で初めて鹿児島へ行ってきました。ほぼ、日本の北の端から南の端へ大移動。羽田でトランジットもあり、ちょっとした海外旅行をした気分になりました。着いて早々、友人と飲みに繰り出しましたが、焼酎が安くておいしいのにはびっくりです。屋台村で飲んでいたらパラパラ知り合いが集まってきて楽しい飲み会でした。鹿児島はそこそこ大きな街なんですが、生態学会関係者というのはどうしてもああも独特の雰囲気(山から出てきた感じ、とでもいいましょうか)を醸し出すんでしょうか・・・・。人ごみの中でもなんとなく見分けがつくからおかしいです。

鹿児島の街は、駅の上にでっかい観覧車があったり、今でも火山活動がさかんな桜島がどこからでも見えたりと現実離れした雰囲気を感じました。街中火山灰だらけでも、火山灰を捨てる場所や克灰袋という火山灰を捨てるためのごみ袋があるのが独特でした。地元の人は火山灰とうまく付き合っているみたいです。札幌の雪みたいなもんか?と思ったのですが、火山灰は年中降るからこっちの方が面倒かな?でも、量は圧倒的に札幌の雪の方がたいへんですね。


 

 
学会は、あれもこれもと欲張りすぎず、聞きたいところを厳選して行ったので消化不良になることもなく腹八分目でちょうどよかったです。といっても、受賞講演をはじめ、「他種共存機構とニッチ」「都市の生物多様性保全」「研究倫理」と幅広く聞くことができました。講演がある時間帯は必ずどれかの講演を聞かなくてはならない、という強迫観念にかられるのはあまりいいことではないかもしれませんね。自分の発表は、今回のデータならばまあまああんなものかな、といった感じです。発表後だべっていたら、知人からよいサジェスチョンをもらえたのはよかったです。

今回は、少し観光する時間もとりました。水族館に行って見たんだけど展示のボリュームにしては割高感のする入館料かな・・・。それでもサンゴについて勉強する機会があったのはよかったです。波の弱い浅瀬では繊細な体のつくりになるなんてことは知りませんでした。あと、オオウナギがでかかった。なんだか異様な雰囲気(笑)。


今日は、桜島へ渡ってみました。船代が片道160円と格安で、航路は地元の人にもよく使われているみたいです。ここのビジターセンターは無料な割に充実した展示で、江戸時代(?)、大正時代、昭和時代の大噴火から植生が回復していく様子が時系列で説明されていておもしろかったです。あとは、溶岩の上に作られた散策路を少し歩いてから温泉に入ってきました。

 

 
帰りの飛行機。知っている人とかちあうのはゆくあることなんですが、今回はなんと10数年ぶりにお会いした先輩と席が隣でした。飛行機がちょっと遅れ、千歳便へのトランジットの時間が10分しかなく、心配されたんですが、「何とかなりますよ~」と余裕ぶっこいていました。何とかはなったんですが、搭乗予定の便には間に合わない、といわれ2時間後の便に振り替えられてしまいました。

トランジットで空港で待ちぼうけするところまで、今回は海外旅行みたいでした。例のごとく、ブログ書きがよい時間つぶしです。加えて、カレー&生ビール一杯で1500円ほど余計な出費・・・。

2015年1月26日月曜日

やれやれ。

今年度からパーマネント採用されたこともあり、道内の河川生態系保全を目的に活動する団体からお誘いを受け、活動しています。で、頂いたお題が「ニジマス・ブラウントラウトに関する市民シンポを開催すること」。研究者とはいえ一人の人間、データでは表現できない色々な感情、感覚それらに基づいて形成された考えがあり、その考えを伝えるよい機会だと思い、お受けしました。変な話、データでしかものを言えない研究者ではダメだと思います。研究とは直接関係のない部分で接する色々な人の想いや考えにも敏感になり、それらを自分の考えの中に取り入れていくことは大事だと思います。

シンポのコンセプトは、自分のHPのトップページにある文章の通りです。いかに、(いわゆる)擁護派と駆除派が歩み寄り、そして互いの言い分の折衷案を見出すか、です。後者については理想であり、前者が達成できるだけでも万々歳です。ただ、その企画はたいへんでした。

よくニジマス・ブラウン釣りの愛好家に対して「釣り人のエゴで川に好き放題釣り用の外来魚を放していいのか!?」という批判が寄せられます。単純に言ってしまえば「エゴはダメ」という考えです。でも、「エゴはダメ」というよりかは「そのエゴをどうするか」という議論が必要に思います。人間誰しも、好き・嫌いという単純な感情に基づいた「(自分の都合だけで)あれをああしたい、これをこうしたい」というエゴな面を持っています。物事の方針を決めていくうえで、実は、その一面こそが意見の根本にあるものであり、互いに尊重し合わなければ、相反する考えの人が歩み寄ることは不可能なのではないでしょうか?エゴというものは批判されるものでもなんでもなくって、あって当然のもの、とも思います。そして、そのエゴはまちまちだからこそ、話し合ってルールを決めることが大事なのでしょう。

少し話はそれますが、学部時代に動物生態学の授業でクジラ漁についてのディベートをしたことがありました。その中で、クジラ漁反対派から「クジラはかわいいから殺してはダメだ」という意見が出ました。教室全体になんて安易な意見なんだ、という雰囲気が漂ったのですが、助教授の先生はクジラ漁反対を訴える中で説得力ある意見として高く評価しました。「かわいい」等の感情は人間が意思決定するうえで、もっとも重要な要素の一つであり、それをないがしろにして事を進めることこそが安易なのだ、と諭すように学生たちに語りかけられました。

「お前は無表情で何を考えているのかよくわからん」、と周りの人から言われることが多いのですが、研究活動の上でも人の感情を大切にできる人になりたいと思います。
シンポ自体は、、、、参加された人からの反応を待ちたいですね。